ということで家探しを始めた訳だが、やはりそう簡単に自分たちの理想の家を見つけることは出来なかった。
多少の妥協が必要なのは理解していたが、生活するには不便な場所、好みの立地や間取りではない、予算オーバー等、なかなか自分たちの条件を満たす物件に出会うことが出来ず、探すエリアもどんどん広がっていった。
タイミングもあるだろう。
そんな状況のまま妻が長女の出産に入り家探しは一時中断。
今想えば少し行き詰っていた頃だったので、いい充電期間になったと思う。
その間も情報収集は続けた。
妻が無事に出産を終え数か月が経ち、気持ちも新たに今度は3人で家探しを再開して割とすぐ、たまたま知った隣の市にあるハウスメーカーを訪れた。
駅前にあってそれほど大きくはないが、建物は新しく綺麗な会社だった。
すぐに部屋に通され営業担当者と挨拶をすると、さっそく売り出し中の土地の資料を見せてくれた。
その売り出し中の土地は7区画の土地で、その時点で3~4区画はすでに契約済みと記されていた。
正直土地の値段は高かったが、建物は2人の希望でもある「自由設計」だった。
「これから見に行ってみます?」
確か自分たちの車で営業車に付いて行ったと思う。
着いた場所は区画全体が何もない更地で、農地のようだったが何も植えられてはいなかった。
売り出された7区画はその農地の一部で、恐らくこの地主さんが土地の一部を売ったんだろう。
しかしその何もない更地のせいでこれまで見てきた土地や建物と違い明るく広々と見えた。
そこは農地だったが、周りは妻の希望の1つでもあった区画が綺麗に整備された新興住宅地で、大通りから少し外れたで静かな場所だった。
営業さんの話によると駅まで歩いて15分くらいで、周辺環境からも生活に不便なことはなさそうだし近くに小学校もある。
7区画新規の売り出しなので、7世帯とも住み始める時期はだいたい同じになる。
これもポイントの1つだった。
妻も同じような印象を持ったのだろう。
「いいんじゃない!?」
「良い」というよりマイナスな部分、不都合な部分が見つけられなった。
金額のことは頭から消え、その場で妻と相談して残っている土地の中から気に入った土地をキープしてもらった。
まだつづく。
